経営者こそ必要!自社の経営や組織への影響を防ぐ自身のメンタルヘルス対策

認定傾聴カウンセラーとして愛知県で中小企業向けメンタルヘルス支援対策をしているサードです。

  • 「経営者として弱気ではダメだよな」
  • 「この判断は会社にとって本当に良いだろうか」
  • 「従業員とのコミュニケーションが上手くいかない」

日々会社のかじ取りをしながら、このような悩みを抱えていませんか?

経営者は会社の中で一番責任あるポジションのため、精神的な負荷はとても大きく、無理をし過ぎてしまうことはありますよね。

私は前職の7年間で約30社の中小企業へ職場改善コンサルティングを実施しておりました。そこで経営者の様々な悩みを聞いてきた私が、会社のトップにこそメンタルヘルス対策が必要であることを徹底解説していきます。

結論から言うと、会社のトップとして自身のメンタルヘルス対策への理解が深まります

この記事では、

を紹介しています。ぜひ最後までお読みください。

1.経営者に多い悩みとは?

経営者は従業員と立場が異なり、抱える悩みも違ったものがあります。

特に多いと言われているのが以下2つです。

  • 1-1.意思決定を1人で背負わなければならない
  • 1-2.従業員とコミュニケーションがとれていない

それぞれ説明していきますね。

1-1.意思決定を1人で背負わなければならない

経営者は孤独」と言われることが多いです。何か判断をくだすとき、様々な選択肢があると思いますが最終的には経営者が1つを決めなければならない。

決定したことに対して責任をとるのが経営者であり、誰のせいにもできません。そのように考えると1人で意思決定を背負うことは非常にプレッシャーであり、精神的な負担も大きいです。

1-2.従業員とコミュニケーションがとれていない

経営者として仕事を獲得してくることや他の経営者との付き合いなど社外に注力することが多く、社員とのコミュニケーションがおろそかになりやすいです。

社員とコミュニケーションを図っても何を話していいか分からない、相手のことを良く知らないなど一歩引いてしまいます。また、会えば社員から「こうして欲しい」などの要望が多いと積極的に話したい気持ちはなくなりますよね。

このような状況が続けばどんどん悪循環になり、まったくコミュニケーションがとれず社員が何を考えているのかわからなくなります。最終的に「なぜうまくいかないんだ」と悩みが深くなっている経営者も多くいるのではないでしょうか。

2.経営者が悩みを抱えてしまう3つの理由

色々な悩みがある中で、一人で抱え込んでしまう傾向が経営者にはありますが3つの理由が以下になります。

  • 2-1.周りに悩みを見せてはいけない意識
  • 2-2.分かってもらえないという思い込み
  • 2-3.会社の重要な情報を絶対に漏らせない立場

それぞれ解説していきますね。

2-1.周りに悩みを見せてはいけない意識

経営者として悩みは自分で何とか処理しなければいけないという考えの方が多くいらっしゃいます。

「弱いところは社員に見せられない」
「悩んでいると周りが不安に思ってしまう」
「リーダーは自信に満ち溢れていなければいけない」

私も経営者と接してきた中で、従業員に悩みを言っている方は見たことがありません。強い口調で指示を出したり、従業員に安心感を持たせるような会話をするなどリーダーを意識した行動がほとんどです。

そのような言動は経営者として必要なことでもありますが、背景として従業員に不安を与えてはいけないという意識が働いているのでしょう。

2-2.分かってもらえないという思い込み

経営者の悩みは経営者にしか分からないと思い、自ら相談をためらう方も多いのではないでしょうか。

会社の重要な意思決定、経営状況から判断すべきことなど、従業員ではできないことを経営者はしなければいけません。また、経営者は長期的な視点に基づいて事業を考える必要があり、従業員とは役割が異なります

現場の状況を従業員にヒアリングして事業の展開のヒントを得ている経営者をお見かけすることはありますが、事業の方針や意思決定の悩みを従業員に相談している経営者はほとんどいないでしょう。

このように考えると経営者としては自ずと相談することをためらい、話しても分かってもらえないという気持ちは強まり悩みをさらに抱え込んでしまう状況となります。

2-3.会社の重要な情報を絶対に漏らせない立場

会社の立場上、経営者は漏らすことができない情報を一番抱えています。

会社の重要な情報は他社との差別化や個人情報の保護などにおいて、絶対に外部に漏れてはいけません。内容によっては従業員にも言ってはいけない情報も含まれています。

親しくさせていただき社内の様々なことを話してくださる経営者の方でも、特に資金繰りについては話題に上がったことは一度もありません。

経営者という立場上、会社にとって重要な情報を取り扱うことが多いので、そこに付いてくる悩みも自身で抱え込まないといけない状況になってしまいます。

3.経営者のメンタルヘルス不調による影響

悩みを抱える経営者の中にはメンタルヘルス不調の方もおり、以下の3つのような影響も出てくるでしょう。

  • 3-1.事業の損失につながる
  • 3-2.社内組織が活発ではなくなる
  • 3-3.家族へ心配をかける

それぞれ見ていきましょう。

3-1.事業の損失につながる

会社のトップとしてメンタルヘルスの不調により事業展開を考えられなくなってしまうと損失につながる可能性は大きくなります。

経営者として重要な意思決定やそのスピード感、また思考する力が衰えてしまうとビジネスの機会を逃してしまうでしょう。また、適切な判断がくだせなくなると会社を誤った方向に進めてしまう場合もあります。

いつもお会いするとイライラされている経営者の方が以前おりましたが、事業方針が二転三転して現場の方々がモチベーションを落としてしまい、どんどん利益が低下してしまった会社もありました。

メンタルヘルスが不安定で経営者という役回りを十分果たせないと、経営状況に大きな影響が出てしまう恐れがあるでしょう。

3-2.社内組織が活発ではなくなる

メンタルヘルスが整っていない経営者がいる会社では、組織の活性化も妨げられてしまうケースがあります。

経営者の気持ちや感情が不安定な状態は、自然と社内に広まってしまいます。また従業員は経営者をよく見ていますので、影響を受けて意見が言えなくなってしまうことも起きるでしょう。

あるお客様の従業員と接してきましたが、士気が下がっている組織と経営者の気持ちの状態はつながっている場合が多くありました。日によって経営者の気分が上下してしまい、従業員もおとなしくなってしまっている職場なども見させていただいたことがあります。

組織の一番の長である経営者の精神的な状態は社内の雰囲気などに影響しやすいですね。

3-3.家族へ心配をかける

経営者も従業員と同じく家族がいれば、メンタルヘルスが不調であれば家族は心配しますよね。

家族としては経営者本人の体の調子や気持ちの状態を気にするだけでなく、今までのような生活ができなくなってしまう不安にもつながります。

私自身も個人事業主ではありますが代表をしており、時には落ち込んだりしてしまうこともあります。自身では気づかないですが、家族はよく見ており気づいて声を掛けてくることもあります。

人間である以上経営者も精神的に不安定な状態はありますので、家族が心配することも起きてくるでしょう。

4.経営者がメンタルヘルス不調に陥らない3つの対策

日頃からメンタルヘルスの調子を維持していくために以下の3つの対策をおすすめします。

  1. 4-1.自己管理を徹底する
  2. 4-2.仕事管理を見直す
  3. 4-3.相談者をつくる

それでは説明していきます。

4-1.自己管理を徹底する

まずは身体的、精神的なところを自身で管理していくのが良いでしょう。

4-1-1.身体的なケア

特に睡眠、運動に今までよりも意識していくことをおすすめします。

睡眠であれば一般的には6~8時間といわれることが多いですが、個人差もありますので毎日同じくらい睡眠時間を確保することを実践していきましょう。睡眠不足で身体が重くなる経験は皆さんもあるかと思います。

運動については、例えばウォーキングをすると頭もクリアになり気持ちの切り替えもできます。私も気分が晴れない時に10分ほど外を歩くだけで前向きになれることが多いのでとてもおすすめです。

4-1-2.精神的なケア

身体同様に精神面のケアも重要です。特にお金もかからず、簡単に、短時間でできることとして呼吸法を紹介します。イライラしたり、不安を感じたりするなど気持ちが不安定なときに実践してみてください。

方法としては、落ち着いた状態で自身の呼吸に意識を向けて、

  1. 3秒間息を吸う
  2. 2秒間息を止める
  3. 5秒かけて息を吐く

これを数回繰り返すだけで気持ちを切り替えることができます。私も実践して頭やこころをリセットしたり、寝る前に気持ちを落ち着かせたいときに活用しています。

自律神経の副交感神経といわれる体をリラックスさせる神経を優位にする働きが呼吸法にはありますので、忙しい中でもすぐに実践できて効果的です。

4-2.仕事管理を見直す

労働環境も経営者としてはストレス要因になりますので以下の3つを対策にあげました。

  • 4-2-1.他の人に仕事を任せる
  • 4-2-2.スケジュールにゆとりを持つ
  • 4-2-3.できることに集中する

それぞれ見ていきましょう。

4-2-1.他の人に仕事を任せる

自身の仕事を見直して他の人に振ることができるなら任せましょう。

現在抱えている仕事をあらためて確認してみると、自分がしなくてもよい仕事があったりします。現場で従業員と同じ作業をする、社内の帳票類を作成・整理するなどですね。

仕事の意味をしっかりと説明して部下に仕事を振ることは、信頼にもつながり部下のモチベーションの向上を促す場合もあります。また、組織が大きくなれば権限移譲も不可欠になります。

経営者にしかできない仕事にできるだけ集中することが頭や気持ちの混乱を防ぐ一つです。

4-2-2.スケジュールにゆとりを持つ

忙しい中でも時間にゆとりをもつことを意識していきましょう。

次から次へと様々な仕事をしていくと、頭もこころも休むことができず自身の状態に向き合うことができません。この状態が続けば燃え尽き症候群となる可能性が高く、突然気力が低下し仕事ができなくなってしまいます。

これまで関わってきた経営者の中で、落ち着きのある方の会社や組織は安定している印象がありました。時間をつくって考える時間を確保することで経営を見直し修正を入れることになり、不安になる状態を未然に防ぐ結果となっていました。

毎日何かに追われている感覚のある方は、ぜひ一度足をとめて考える時間をつくりゆとりを意識してみてください。

4-2-3.できることに集中する

無理をしないといけない場面はあるかと思いますが、現実的な側面にも目を向けていくことは重要です。

会社を大きくしていきたいという気持ちの中で、どんな要望でも応えようとして振舞ってしまうと精神的な負担は大きくなりやすいです。

また事業と深く関連しないことをしていれば「自分はなぜ今この仕事をしているのだろう」と非常に強い徒労感に陥ってしまうでしょう。

私の経験上、全てではないですが急速に売上が伸びている会社で起きやすいように見えます。「なりふりかまわず」という状態です。

できること・できないことの境界線を認識し、無理なら自社の強みを活かせる上で別の対策を考えていくほうが長期的に見ても前向きにないりやすいでしょう。

4-3.相談者をつくる

「経営者は孤独」といわれますが、メンタルヘルスを考えるならば相談できる相手は必要です。

  • 4-3-1.仕事以外の交友関係を増やす
  • 4-3-2.先輩経営者をメンターにする
  • 4-3-3.心理カウンセラーと話す

それぞれ説明していきます。

4-3-1.仕事以外の交友関係を増やす

仕事のことを忘れて色んなことを気をつかわずに話すことができる人をつくりましょう。

会社の情報についてはすべて話すことはできないと思いますが、今の自身の気持ちやこころに溜まっていることを話すだけでも気持ちが少し楽になります。聴き上手な方が望ましいですね

誰かに話すことで自身の気持ちが見える化し、考えも整理されていきます。新たなアイデアが浮かんできたり、悩みが実は小さなことだったと気づくこともあります。

私も経営者の方からお話を聴かせていただく機会があり、こちらから発言することなくご自身で話している中で「こうしてみよう、ああしてみよう」と思い、実行される方を見てきました。

友人や趣味が同じ方などとつながることはワークライフバランスとしても大事でしょう。

4-3-2.先輩経営者をメンターにする

自身よりも経営者としての経験が豊富な方をいつでも相談できるメンターにしましょう。

経営者の悩みとして、2-2.分かってもらえないという思い込みがありました。同じ経営者が相談相手であれば、悩みを理解してもらいやすいですよね。また、困ったときに話を聴いてもらえるメンターになってもらうと、安心感も湧いてきますよね。

自社が属する業界の団体や私も加入している商工会には多くの経営者がいらっしゃいます。知識や経験が自身よりも多い方や異なる視点をもっている方がいますので、悩みの解決や気づきにつながることもあるのではないでしょうか。

同じ立場だからこそ、一番話しやすく相談しやすい相手ですね。

4-3-3.心理カウンセラーと話す

カウンセリングの専門家に相談することも有効です。

心理カウンセラーは聴くことのプロです。話を聴いてもらう中で自身を深く見つめなおすアプローチもあり、悩みに至ってしまう自身の思考を修正できるように導いてもらうこともできます。守秘義務もありますので口外することは一切ありません。

カウンセリングの定義として悩みの解消だけでなく、個人の成長を促進も掲げられています。自由に話をする中で自身の強みや弱みなどいろいろな気づきがあり、カウンセラーが伴走して目標設定やその達成を一緒に目指していきます。

カウンセリング発祥のアメリカでは経営者に専属のカウンセラーがいることも特別なことではありません。日本ではまだまだ一般的ではありませんが、社内で一番重要な存在である経営者だからこそプロのケアを活用する高い価値があります

5.まとめ

メンタルヘルス対策は年々高まっており、会社の福利厚生として従業員がこころの病で悩まれるところをケアしていくサービスも拡充してきています。国も法律を整備し、公的機関では無料で受けられるサービスもあります。

しかし経営者のこころのケアについてはまだまだこれからという状況かと思われます。経営者自身の認識やとりまく環境やサービスも変わっていく必要があるでしょう。

普段から従業員だけでなく経営者もメンタルヘルス対策を今まで以上に意識していく内容として参考にしてください。

この記事を書いた人